異尺度対応図形
注釈とは、寸法、テキスト、シンボルなど、モデルやジオメトリではない図面上のすべての図形を指します。注釈の一般的な問題点は、尺度に依存することが多いことです。注釈の中には、プロットの縮尺に合わせて調整しなければならないものや、特定の尺度でしか表示できないものがあります。
異尺度対応スタイルや図形により、現在の尺度係数やビューポートの設定に応じた表示(サイズ、位置、方向)を行うことができます。
次の図形は、異尺度対応プロパティを持つことができます:
- 文字とマルチテキスト
- ハッチング
- ブロックと属性
- 寸法と公差
- 引出線とマルチ引出線
次のスタイルは、異尺度対応プロパティを持つことができます:
- 文字スタイル ( STYLE コマンドを参照)
- 寸法スタイル ( DIMSTYLE コマンドを参照)
- マルチ引出線スタイル ( MLEADERSTYLE コマンドを参照)
- 異尺度対応のスタイルを使用して作成された図形は、カレントの異尺度対応尺度を自動的に割り当てられます。
- 異尺度対応スタイルが異尺度非対応図形に割り当てられている場合、異尺度プロパティは自動的には割り当てられません。
コマンド
ANNORESET:選択した異尺度対応図形のすべての尺度表示をカレントの尺度表示の場所にリセットし、すべての尺度表示を同期させます。
ANNOUPDATE:選択した異尺度対応図形を更新し、カレントのスタイル定義と一致させます。
OBJECTSCALE:ダイアログボックスを使い、異尺度対応図形に使用できる尺度を追加または削除します。
-OBJECTSCALE:コマンドラインで、異尺度対応図形に使用できる尺度を追加または削除します。
SCALELISTEDIT:印刷ダイアログと ページ設定ダイアログの印刷尺度およびペーパー空間ビューポートの標準尺度プロパティに使用される尺度リストを編集します。異尺度対応図形で使用可能な異尺度を定義します。
-SCALELISTEDIT:コマンドラインで、図面の尺度リストを編集します。
システム変数
ANNOALLVISIBLE:現在の異尺度をサポートしていない異尺度対応図形の表示を切り替えます。
ANNOTATIVEDWG:別の図面に挿入したとき、図面を異尺度対応ブロックとして挙動させるかどうか指定します。
CANNOSCALE:カレントの空間におけるカレントの注釈尺度の名前を設定します。現在の尺度リストに存在する尺度のみが受け付けられます。CANNOSCALEの設定は、モデル空間と、各種レイアウトのビューポートごとに保存されます。注釈図形を作成すると、現在の注釈尺度が自動的に適用されます。
CANNOSCALEVALUE:現在の注釈尺度の値を表示します。例:1:2スケールの値は0.5です。
HPANNOTATIVE:新しいハッチング図形を異尺度対応にするかどうかをコントロールします。
MSLTSCALE:オンにすると、モデル空間の線種が現在の注釈尺度に合わせて尺度設定されます。MSLTSCALEの値を切り替える際には、再作図が必要です。この変数は、ペーパー空間のPSLTSCALE(ペーパー空間線種尺度)と同等のものです。
MSOLESCALE:テキストを含むOLEオブジェクトをモデル空間に貼り付けたときのサイズを制御します。MSOLESCALEは、直近のスケーリングにのみ影響します。変数が変更されても、既存のOLEオブジェクトは影響を受けません。
SAVEFIDELITY:異尺度対応図形をサポートしていないプログラムで開いたときに、図面の現在の表示を維持するかどうかをコントロールします。
SELECTIONANNODISPLAY:異尺度対応図形を選択したときに、すべての尺度表示を表示するかどうかをコントロールします。
カレントの注釈尺度を設定
カレントの注釈尺度を設定するには、次のいずれかの操作を行います。
- プロパティパネルで その他 の 注釈尺度をクリックし、下向き矢印ボタンをクリックして尺度リストから尺度を選択します。
- ステータスバーの注釈尺度フィールドを右クリックし、リストの中からスケールを選択します。注釈尺度フィールドがない場合は、ステータスバーの右端にある下矢印をクリックし、リストの中から注釈尺度を選択します。
図形の異尺度対応
非異尺度対応のスタイルを使い作成した異尺度対応図形は、以下の手順を行い異尺度対応にすることができます。
- 異尺度対応にしたい図形を選択します。
- プロパティパネルで、異尺度対応フィールドを選択します。
- はいを選択します。
選択した図形に現在の異尺度が適用されます。